会長就任のご挨拶

公益社団法人 砥粒加工学会
会 長  大下 秀男

会長の写真

 この原稿を書いている本日は,3月25日です.ちょうど2週間前の3月11日午後2時46分に,三陸沖を震源とするM9.0の巨大な地震による東日本大震災が発生しました.激震,巨大津波,それによる福島原子力発電所事故のまさに三重苦で,戦後日本が経験した最悪の,未曾有の災害と報道されています.被災されました地域の皆様方には,心からのお見舞いを申し上げますと共に,この原稿が掲載されます頃には,福島原子炉が安定,放射能漏れが沈静化し,確実で着実に被災地域の復旧,復興が進んでおりますように,衷心よりお祈り申し上げます.


 さて,去る3月4日開催されました平成23年度通常総会において,平成23・24年度の会長に選定されました.砥粒加工研究会時代より数えますと,半世紀以上にも及びます歴史ある砥粒加工学会の会長職を拝命することになり,まさに身の引き締まる思いでございまして,微力ではございますが,職務の全うに全力を尽くしたいと考えております.何卒よろしくお願い申し上げます.

 当期の理事会ですが,役員編成を行うに当たり,①今後出来るだけ長期に渡り当学会を背負っていただける新しい若手の方の登用②産業界出身者の増員③幅広い地域からの偏りのない選抜を主眼に選考を進めました.結果,理事は半数の10名が再任を含む新任,産業界出身者は前期より倍増の6名,出身地域は北海道を除く九州から東北まで万遍なくカバーできたなど,充実した布陣に出来たのではないかと思われ,このメンバーで一致協力して職務の遂行にあたりたいと考えています.ただ,産業界出身者はまだ少ないと思われ,今後さらに増員を図っていく必要があると感じております.


 昨年の国内経済状況は,半ばまではエコポイント継続など政府の支援策による消費引き上げ効果や輸出増加などにより着実に回復しましたが,デフレによる雇用や個人消費が低調であったことに加え,後半は円高による輸出企業の業績低下やそれによる設備投資の停滞などで伸び悩みました.世界経済状況も,中国やインドなどを初めとする新興国の大幅な拡大継続があった一方,欧米は失業率が高止まり,金融システム不安が解消されないなど,根本的な景気低下要因が改善されず,総じてはその成長は鈍化しました.

 今年の経済動向も,国内及び世界とも昨年の傾向を改善しきれない状況が続くものと予想されています.特に国内は,東日本大震災による経済停滞が懸念されており,経済情勢の不確実性が一層強まったように思われます.

 このような情勢を踏まえ,当期は次のような活動に注力したいと考えております.

 まず一つ目は,当学会は昨年8月末に公益社団法人として認定されました.それに従い,まずは公益法人としての規則に則った学会運営を確かなものにしたいと思います.そのために求められますのは,あらゆる事業・活動の①コンプライアンス遵守②透明性と情報開示③理事会による適正なガバナンス,さらには④オープンな公益性などですので,それらの点を良く理解した上,十分留意して学会運営を行っていきたいと思います.

 二つ目ですが,まずは企画部門の強化・充実を図りたいと考えています.学会の役割や使命を考えてみますと,当学会がカバーする分野である加工技術(研削・研磨・切削・切断),工具技術,加工機械技術,計測技術,システム技術,マイクロ・ナノ加工技術や,さらにはこれらの関連技術に係わる国内外の最新研究情報,技術情報,新製品情報などを如何にタイムリーに豊富に提供できるか,またこれらの過去の情報を,如何に正確に豊富に,かつ簡便に引き出すシステムを提供できるかに尽きるのではないかと思います.

 企画部門強化により,魅力あるセミナー,シンポジウム,研究見学会等の立案と実施,またABTEC(砥粒加工学会学術講演会),ISAAT(International Symposium on Advances in Abrasive Technology)やATF(先進テクノフェア)などの学術及び技術講演会,さらには専門委員会・研究分科会の充実による最新情報の提供や問題提起に努めることで,学会をさらに魅力あるものにし,上述した役割の実行に貢献したいと考えます.

 またそういう意味では,学会誌を初めとする出版物も大変重要で,併せて編集部門の強化を図り,学会誌や各種刊行物の内容充実による良質でタイムリーな情報提供を促進したいと考えております.

 三つ目は,若手研究者・技術者の教育・育成の継続であります.一昨年前よりグラインディング・アカデミーを再開し,好評を博しております.昨年は「計測・表面解析」,「切削加工」について2回開講しました.今年も2回の開催を予定しており,まずは5月に「研削加工」についての開講を計画しています.また,若手研究者・技術者の集いであります「次世代ものつくり研究会」,さらには「学会活性化フォーラム」の継続、充実を図ります.

 四つ目ですが,産官学の連携強化です.三人目の産業界出身会長となる私に最も期待されているのは,多分この点であろうと思います.本学会の最大の特長である賛助会員会の更なる強化と活性化を通して,産と官学の架け橋強化,連携をさらに進め,より強固なものにしたいと考えております.


 最後になりましたが,何卒皆様方のこれまで以上のご支援,ご協力,またご指導,ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます.


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